【断層映像研究会雑誌 第50巻 第2号  2023年10月】
      症例報告
・肺内Solitary fibrous tumor のMRI 所見  高柳 幸穂、他(2023年10月30日)
       
       
     

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症例報告

 

肺内Solitary fibrous tumor のMRI 所見

高柳 幸穂1)、江頭 玲子1)、山口 健1)、中園 貴彦1)、煖エ 浩一郎2)、
荒金 尚子2)、平塚 昌文3)、宮原 尚文3)、甲斐 敬太4)、入江 裕之1)

1)佐賀大学医学部 放射線科
2)佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科
3)佐賀大学医学部 呼吸器外科
4)佐賀大学医学部 病理診断科


 

抄録
 肺内に発生するsolitary fibrous tumor(以下SFT)は稀であり、MRI 所見の報告は見出せない。今回我々はMRI 検査を施行した肺内SFT の1 例を経験したので文献的考察を含めて報告する。
 症例は重喫煙歴のある52 歳男性。検診の胸部単純写真で右肺底部腫瘤影を指摘され紹介された。腫瘍マーカーを含め血液検査値に異常は見られなかった。CT では、右肺下葉のB10 分岐部に近接して3.4 ×3.4 × 4.0cm 大の境界明瞭で辺縁平滑な類円形充実性腫瘤を認めた。気管支内腔への突出や臓側胸膜に接する所見は見られなかった。腫瘤は単純CT 上、非特異的な等吸収で石灰化や脂肪成分はなく、dynamic study では漸増性に不均一な淡い増強効果を認めた。MRI では、T1WI で等信号で脂肪・出血成分はなく、T2WI では不均一な高信号、DWI では部分的に拡散制限を認めた。Dynamic study では辺縁部に強い早期濃染を認め、その他の領域には不均一な増強効果を認めた。遅延相では増強不良域が散見された。右肺下葉切除術が施行された。組織学的には細胞密度の高い領域と低い領域があり、前者では紡錘形細胞が索状〜花むしろ状に増殖し、内部に鹿角状の血管が見られ、後者でも膠原線維増生を背景に同様の細胞が増殖していた。免疫染色ではVimentin、bcl-2 およびCD34 が陽性であった。肉眼・組織学的にも胸膜とは明らかに離れ、肺内発生SFTと確認された。

Key words :
solitary fibrous tumor、肺腫瘍、MRI、間葉系腫瘍

  【投稿受付:令和 5年 8月21日】【査読完了:令和 5年 10月2日】

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